4月カリフォルニア不動産マーケット状況レポート

今年第1四半期の国内総生産(GDP)速報値は、経済が拡大したことを示唆していますが、その勢いは衰えているように見えます。小売売上高と個人消費については、実質所得が9ヵ月連続で改善しているにもかかわらず、消費者は買い控えをしています。労働市場の好調は賃金上昇を支え続けていますが、それは人件費の上昇につながり、インフレ率の上昇圧力となります。加えて、最近の銀行破綻は、長期的な経済全体の健全性に不透明感を与え、消費者の将来に対する期待感を抑圧しました。不動産市場については、中古住宅の供給不足により、住宅購入の動きが新築住宅に向かい、3月の一戸建て住宅在庫全体の33.2%を占め、パンデミック前の1年間の平均17.8%のほぼ倍となりました。

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3月の新築住宅販売数は急増

3月の新築住宅販売は、再販在庫が少ない中、購入者が新築に目を向けたため、2月から9.6%増加し、年間683万戸のペースとなりました。2月の販売増は3.9%の減少に修正されたものの、3月は過去4ヶ月で3度目の増加、11ヶ月ぶりの高い販売ペースを記録しました。この好調な販売増により、新築住宅の供給月数は2月の8.4ヵ月から3月は7.6ヵ月に減少しました。また、競争が激化し、価格上昇も緩やかなものとなりました。新築住宅の中央価格は前月比3.8%、前年同月比3.2%の上昇となりました。ここ数ヶ月、需要の回復が見られるものの、金利が高止まりしているため、新築住宅販売は1年前のペースを下回る状態が続きました。

消費者信頼指数は将来への期待が不確実なものとなり低下

将来や銀行システムの安定性に対する懸念の高まりが消費者の心理を圧迫し、4月の消費者信頼感は6ヵ月ぶりの低水準に落ち込みました。4月の消費者信頼感指数は101.3に低下し、これは期待指数の急落によるもので、68.1まで落ち込み、7月以来最も低い数値となりました。先行きの不安からくる期待指数の低下は、近い将来、個人消費が抑制されることを示唆するものです。一方、現状を判断するインデックスは151.1とわずかに上昇し、消費者が労働市場や景況感に対して明るさを保っていることが示されました。

米国経済は、比較的緩やかなペースではあるが拡大継続

第1四半期の実質GDPは前期比年率1.1%増となりました。これは、2022年最終四半期の2.6%の成長率から一歩後退しました。2023年第1四半期の経済成長は、実質支出が3.7%増と堅調に推移したことが大きな要因となっています。しかし、月次データによると、小売売上高が1月の好調な伸びから大きく落ち込んだことから、個人消費は四半期末にかけて勢いを失っていた可能性があります。企業も第1四半期に大きく後退し、在庫の取り崩し、設備購入の削減、住宅投資の縮小を行いました。

消費者信用指数と貯蓄への依存が薄れる

ここ数十年で最も高いインフレ率により、消費者は支出を維持するために過去に比べはるかにクレジットに依存するようになりました。過去20年間で、リボ払いの残高が最も増加したのは、すべて過去12ヶ月間でした。しかし、最近の銀行倒産により銀行が与信基準を厳しくしているため、クレジットはより高価になり、入手が難しくなっています。さらに、個人貯蓄率は5.1%と1年以上ぶりに上昇したものの、家計の貯蓄率はパンデミック前の水準に比べればまだ低い。とはいえ、所得は依然として直近の支出の実質的な原動力であり、逼迫した労働市場が賃金上昇の支えとなっている。インフレが後退しているため、実質可処分所得は当面上昇を続け、3月には9ヵ月連続で上昇しました。人件費がインフレの圧力を維持 2023年第1四半期の雇用コスト指数(ECI)は予想以上に上昇し、2023年3月までの12ヵ月間の賃金・給与は5.0%上昇し、同時期の福利厚生費は4.5%上昇した。労働コストが予想以上に堅調に伸び、インフレに上昇圧力がかかっていることから、FRBは来る5月3日のFOMCで連邦資金金利をさらに25bp引き上げるとみられます。

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May 01, 2023CALIFORNIA ASSOCIATION OF REALTORS®発表のレポートを和文抄訳し、筆者が加筆修正を加えたものです。内容の真偽については、原文を優先してください。